ルルたん、スザルルが大好きすぎて作ってしまったノート。Knight Cageの活動とか思ったこととか・・・。ただいまホームページが消えてしまったので、ブログのみの縮小運営になっています。
AnimeJapan2014で、尊敬する大河内一楼さんが、脚本についてのワークショップ形式の講座をしてくださるという情報を聞きつけ、応募して当選したので行ってきました!
今回は、そんなレポ的なものを。
ちょっと主観的なお話がいろいろ入っちゃう上に、ものすごい長文ですが、ギアスファンとしても脚本の勉強としても、とても貴重な体験ができたので、よかったらお付き合いくださいませ。
下の「つづきはこちら」からどうぞ。
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まず、今回の講座の参加資格というか、大河内さんから出された宿題がありまして。
『プラネテス』1話目か『コードギアス』6話目のどちらかのBパート部分をオリジナルエピソードで200字原稿用紙に25~50枚分(5000~10000文字相)書いて郵送するというものでした。
そこから後日、当落通知を送ります、ということで。
募集が2月28日からで、なんと宿題の郵送締切日がパソコンのHPとケータイサイトの方で違っていたらしく、私は「3月10日消印有効」じゃなくて「10日必着」の方を見てしまったので、「え?あと1週間もないんだけど!?(焦)」の状態!
正式な脚本の書き方なんて知らないから、慌てて脚本の書き方サイトを見つけて一通り読んで、そこから一気に、自分の考えたコードギアス(←もちろんギアス・笑)Bパートのオリジナルストーリーを書き上げました。
なかなかハードでした~。
普段から文章を書いているとか、本気で脚本の勉強してる人は大丈夫かもしれないけど、アイディア出しからしてシナリオを書くって、慣れてない人は無理なんじゃない?これは生半可な気持ちでは当選しない!と、気持ちだけはどんどん上がっていき、郵送したもののドキドキでした。
そして、ここぞ!という運だけは強い私。
ありがたいことに当選させていただくことができました!
この時点で、急に「うわぁあああ、コードギアスが好きすぎて、最近ルルーシュが好きなのか、ルルーシュを脚本として描かれた大河内さんが好きなのかわらない!!」という異様なテンションになってしまい、頭パァンにならないように落ち着こう!冷静でいよう!と言い聞かせて、当日、会場に向かいました。
前置きが長くなりましたが、ここからが会場の様子。
私が会場に着いた10分前には、すでに当選された30名の方、ほぼみんなが座席に座られていて、当日立ち見の方も後方にずらっと並んでいました。
けっこう年齢層が高かったような? 10代くらいの人は少ない感じ。
皆さん机に出しているノートとか筆記用具を見ると、やっぱり真剣に脚本家になりたいと思って勉強している方が多いような気迫を感じてしまいました。
そしてですね、なんと私の座席が、最前列!
しかも、大河内さんが座られるところの真正面!
すっごい近いんですけどーー!!
この時点で一度、頭パァン。
座席について緊張していたら、お隣の女性と男性が声をかけてこられて、ちょこっと雑談。
その方たちのお話では、参加者は、6:4くらいでギアスの脚本を書いてきた人の方が多かったそうです。ギアスの方が人気あるからなのか?書きやすかったからなのか?
そして、やっぱり、両サイドの方とも脚本家目指してバリバリ勉強されている方たちみたいで。
ますます緊張…。
(あとから、大河内さんが言われていたけど、この中には、プロで活躍している人から学生さんやアマチュアの人とかいろいろ参加していて、ものすごくやりにくい(笑)というようなことを言われていました)
そんな中、アナウンスの方の紹介とともに大河内さんが登場。
着席されたあと、簡単な自己紹介をされて、脚本家になった経緯なども紹介。
そして、今回の応募作品について。
やっぱり、「募集期間が短かったから、みなさんキツかったと思います。学生さんやお仕事されてる方もいらっしゃるので」ということで、大河内さんが小説の編集をされていた時のお話を少しされました。
小説家になりたい人は、何十万人もいるけど実際、新人賞とかに応募してくる人は、ほんのひと握りの人だけ。1本作品を書き上げて応募してくるという時点で、小説家への道に1歩近づけている、みたいなお話で。
なんと、今回の脚本も応募の時点で、ふるいにかけられていたということでした。
いや、納得。それだけ真剣に脚本を学びたい人のための講座と思って取り組んでくださったのですよね。
「この期間内で、宿題をクリアして書いて送ってこれたというだけで、脚本家としての素質はあると思ってください」とのことでした。
しかし!
プロの脚本家は、毎週打ち合わせがあるので、1週間で1本、脚本を書くそうです。
今回のBパートだけなら3日ぐらい。←今回の宿題も3日間ぐらいで書けていたら、プロレベル。プロとしてお仕事ができます、とのことでした。
そして、アニメ脚本は、3~5回は、打ち合わせをして直しが入るとのこと。特にオリジナル作品のコードギアスなんかは、6回直しは当たり前だったそうです。
そして、売れっ子脚本家は、2~3本作品を抱えていたりするとのことです。
とにかく脚本は、スピードが大切!とのことでした。
次は、簡単にアニメ脚本の書き方の説明。
図解付きで。
A4サイズで、柱・ト書き・セリフで書いていく。音の情報はいらない。それは演出家の仕事とのこと。
そして次は、どうして大河内さんがこういう脚本にしたかという、わかりやすい説明をするために一緒に『コードギアス』6話目と『プラネテス』1話目を見ましょうということに。
なんてドリーム!!
目の前で大河内さん自ら解説してくださるなんて!!ちょっと、周りもどよめき。
目の前で大河内さん自ら解説してくださるなんて!!ちょっと、周りもどよめき。
まずは、『コードギアス』6話目。
操作は大河内さんがされていて、Aパートは飛ばし気味。
ルルーシュのアップが映った瞬間、「これがこの物語の主人公・ルルーシュという男で…」と大河内さんが言われた瞬間、ちょっと私の心臓止まりました!
ものすごい主観入るけど、ルルーシュのことを「男の子」じゃなくて「男」と呼んだ時点で、「あ、大河内さんは、ルルーシュをほんと立派なひとりの男として、物語の中で描かれてたんだ…!!」って、すごく感じたのです。
私なら「男の子」って言っちゃうかもしれない。それは、ルルーシュのこと可愛いって思ってたりもするから。
でも、大河内さんの中では、ルルーシュは、もしかすると中性的で可愛い部分もあるかもしれないけど、あくまでも目的のために人生をかけて生き抜いたひとりの「男」という意識で、ものすごく厳しい目を持って描かれていたんだなと感じてしまいました。
ここからコードギアスBパート当たりのお話です。(今回の宿題のパート部分)
ざっと箇条書していきます。
●Bパート前に、ニーナがイレブンのスザクを怖がっていたことは、重要な意味があって。
ただの一生徒じゃなくて、生徒会メンバーの意見だからこそ、重みもあるみたいな感じで。
物語的にも、この6話目は、生徒会のキャラクターたちと学園の紹介も兼ねているので、ニーナを出す必要があったということ。
●ナナリーとルルーシュのクラブハウスでのお茶のシーンでは、かなり深刻な話(スザクがイレブンだから、いじめられている話)をしている。それは、次にルルーシュの「ほわぁあああああ!?」という、おかしな声をインパクト付けるため。こういった対比はとても大切。
●ルルーシュが猫を真剣に追うのに、C.C.は呑気にピザを食べてとぼけている。これは、真面目なネタの中にC.C.の可愛らしさを出している。これも対比。大切。
●CMあとのBパートの始まり部分は、次のパートはこんなお話、という紹介のようなものも意識しているから何を描くか重要。
●ナナリーが、ルルーシュの声を「素っ頓狂」という、通常の高校生が使わないような古めかしい言葉を2回も使うのは、ナナリーが良いところのお嬢様育ちということを表現している。
●6話目は、生徒会のキャラクター紹介を兼ねているので、順番にキャラクターを出している。
ニーナは怖がり、他のみんなは、おとぼけで可愛いところを表現。
普段のお話が、シリアスなので、この回は特別で、ここぞとばかりにキャラクターの可愛らしさを表現。
●この回は、お楽しみ回的にルルーシュの無駄なギアスを使うことも入れている。
●カレンが、ファンクラブがあるほど男子生徒に大人気なお嬢様ということのアピール。
●女子生徒がカミングアウトするのは、ミレイさんは女子に人気の生徒会長ということのアピール。
●そんな人気者の生徒会が、最後、スザクを認めた!!となるとイレブンのことを快く思っていない生徒たちもスザクを認めざるを得ない、というか、認めるだろうという説得力の伏線。
●学園に乗馬部が出てくるのは、この学園は、貴族や良いところの子息令嬢も通っているノーブルなイメージな学園というイメージを持たせるため。
●学校の様子が随時出てくるが、視聴者が見ていて、楽しくて素敵な学校!と思わせる紹介も兼ねている。なぜ、そう思わせようとするかというと、「そんな学校に入れてよかったね!スザク」と視聴者に思わせるためでもある。
●実は、これらの学園シーンは、6話目の中のたった3分の1。7分程度。でも、6話目は、誰が見ても「あ、あの楽しい回だよね」と言ってもらえる。それは、アニメだから。小説ではこうはいかない。アニメは、一瞬の音や絵の印象ですぐ情報が伝えられる。そこがアニメ(映像)のいいところ。
テンポの速いストーリーを考えられる人は、アニメ脚本家向き。アニメ脚本は、テンポとスピード感が大切!
●とにかくこの回は、生徒会メンバーたちの可愛らしさ満載にしている。
ナナリーが「にゃぁ~」とマイクに向かっていうシーンのあと、野太い声で「うぉーー!」と声が上がるのは、ナナリーの人気の高さを表している。その声がなかったら、ただの痛い子かもしれないけど、みんながナナリーは可愛いと認めている。
●カレンが、ファーストキスのことをしたことがなくて初めてというのも、普段は男勝りにナイトメアに乗って活躍しているカレンの可愛らしいところを表現している。
●ルルーシュとスザクの階段駆け上がりシーンでの会話では、ふたりの過去の話が出るけど、これを話すことによって、このふたりの間には、過去にとても楽しい思い出があった!と視聴者に思わせるようにしている。
●ルルーシュが屋根から落ちそうになった時、スザクが助けるが、この時点で下で見ていた生徒たちが盛り上がらないのは、コードギアスという作品は、人種差別等を扱っている作品だから、そんな簡単に人々はの心は開かないだろうということ。少女漫画とかなら盛り上がるのはありだけど、この作品で声が上がったら、ちょっと軽すぎるかな?ということで、みんながスザクに心を開くにはあともうひと押し欲しいので盛り上がらない。
●ルルーシュの「友達」発言。やはりルルーシュが主人公なので、ルルーシュのおかげでスザクが生徒会に入るという展開にしている。
●ラストは、シャルル皇帝の演説で終わる。これは、来週からはまたロボット物のシリアスなお話が始まりますよ、という意味でもある。
この6話目のオープニングは、シャルル皇帝の登場から始まっている。そして、ラストもシャルル皇帝で終わるという構成は脚本として理想的。ぱたんと閉じた時に綺麗に始めとラストが同じような形で終わるのが良い。(もちろん、そうならなくても素晴らしい脚本はある)
●イレブンとしていじめられたり嫌われているスザクが、生徒会メンバーに入るまでと生徒会と学校を好きになってもらう!というのが6話目の話。
●コードギアスは、ロボットだったり、ギアスがあったりして、いわゆる飛び道具のようなものがあるから、わりと脚本は描きやすいほう。
今回も、応募された方の中には、学園探偵風ものや生徒会選挙ものやナナリーがゼロ仮面をかぶる!というルルーシュが気が気じゃないような、おもしろいアイディアのお話もあったそうです。ナイトメアが出てくるお話もあって、大河内さん自身は、6話目にナイトメアは出せなかったので、とても褒めてらっしゃいました。
私の脚本も、可愛い作品だった、楽しんで読ませていただきました、と褒めていただけて、恐縮でしたが、とってもうれしかったです!
次に『プラネテス』1話目を見て解説。
すみません、私、この作品は1話目しか見たことがないので、脚本として重要なことしかメモしていなくて…。
ざっとポイントだけ。
●コードギアスと違って、職業ものストーリーなので、これで脚本を応募された人はかなり難しかったのでは、とのことで、いろんなアイディアがあったけど、やはり主人公たちの職業(デブリ屋)で脚本を書いてもらえるのが理想的だったとのこと。
でも中には、デブリ作業を全くせずに、各部署に新人挨拶に行くだけで終わる脚本もあって、それはそれでおもしろかったとのこと。
廃棄遊園地というアイディアの作品が、とてもインパクトがあっておもしろかったそうで、このSFの世界では、遊園地はありえないんだけど、それでも、そういったエピソードで脚本を書くというのは、とても良い。
脚本を書くときは、ありえないくらいの振り幅でまずアイディアを考えるくらいでいい。
失敗してもいい!! 発想力を鍛える!!とのことでした。
●起承転結が基本で、例えば始め(起)の部分で「嫌な奴!」→それが「良い人かも…」と、ラスト(結)の部分で心情の変化が合っているのが良い。
●失望とか突き放しをしておいて、不意打ちで「良い人」と思わせる。→不良が子犬を拾っているところを見るみたいなのと同じパターンで、ひとつのテクニック。
良い人と思わせるシーンは、自分で言ってしまっては台無しなので、不意打ちで見てしまうとか、誰か第三者的な人に語らせるなどしてこそ活きる。
●ハチマキが「You copy?(了解したか?)」といい、タナベが「I copy.(了解しました)」と素直に答えた言葉で、初めて仲間になったと視聴者に意識させる。そういったインパクトあるセリフも大切。
●この話は、タナベが仲間になるきっかけが「転」の部分で、出てくる人を好きになってもらうエピソードを入れることで作られている。
●ふたりが仲良くなるなど、良い展開になっても、ラストはふりだしの仲が悪いパターンに持っていく。それは、連続アニメだから。
●こちらも先程と同様、Bパートのはじまり部分は、ポイント。
このあと、質問コーナー。
こちらも、ざっとポイントを書きます。
●自分で書いていて、このストーリー、どこかで見たことあるかも?というような状態になった時、どうしたらいいですか?とかいうような質問には、例え同じパターンでもお客さんが喜んでくれるものを作るのが大切とのこと。
正直なところ、全く見たことも聞いたこともない話で作られている作品はない。
王道には王道ゆえの良さがあるということですね。
●伏線は、お客さんが「それ、気になる」というぐらいのものが良い伏線。
●生きたセリフを書くには、何稿目に書けば良いか?→1稿目から書くべき!
●谷口監督は、(イメージを)大きく言われる方で、最初に掲げた目標は揺るがない美学がある人なので、脚本家としてはとてもやりやすいタイプの監督。だから、セリフも自由に書けた。
でも、そうでない監督もいる。
脚本は、最初の設計図みたいなもの。
100%を目指さなくても良い。あとで演出や他の人の手が加わって、思ってもいないより良いものにアニメはなっていく。
もし、100%を目指すのなら、脚本家ではなく小説家の方が向いている。
●脚本家は、ライターをやっていたり、アニメ雑誌などで短編小説を書いて認められて業界に入る人も多い。別分野で成功してぽっと入ってきた(いわゆる天才肌?のような)虚淵玄さんタイプはほとんどいない。というか、虚淵玄さんを目指しても脚本家には絶対なれない。
●脚本家は、保険などなんの保証もないので、業界では売れっ子になるとチヤホヤされることもあるけど、世間一般的な扱いはアルバイトと同じ。あまりオススメできる職業じゃない、とのこと。
講座については、以上です。
参加して思ったことは、うん、やっぱり脚本家(アニメ業界)の世界も厳しい!でした。
特に大河内さんは、トップレベルを走る脚本家さんだから、厳しい体験もいっぱいされているのがよく伝わってきて。
これはアニメ業界に限らず、漫画家や小説家とかフリーランスのお仕事全般に言えることなんだけど。
それでも、参加されていた方たちは、真剣に緊張しながら受講されていました。
脚本家って夢を作って売る素晴らしい職業ですもんね!
参加者さんの中で、情熱を持って果敢に挑戦出来る人は、どんどん挑戦して欲しいですし、未来の脚本家さんがたくさん誕生したら、素敵だなと思いました。
私自身は、アニメ脚本家になる機会はなさそうですが(させていただけるなら、もちろんやってみたい!けど、そんな機会はないだろう・笑)、今回の講座は自分の中では、とっても勉強になる素晴らしい講座でした。
ほんと、一生に一度あるかの貴重な体験ができて良かったです!
こんな機会を与えてくださった、全ての方に大感謝です。
そして、最後まで読んでくださって、どうもありがとうございました!
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